テクノロジー(2012年12月)

利用に関わる課題と対応


テネシー州のバークレア保険社長は、効率化のための最大の課題は、テクノロジーに要するコストやその他導入に関わる問題ではなく、ツール(テクノロジー)への信頼性である、と言う。

バークレア保険はエージェンシー管理システムのイメージング機能を信頼しておらず、イメージングについては別のソフトウェアを使っていた。システムが全壊してしまった時のことを心配し、イメージング情報の管理は別にしておきたかったのである。しかし、ついに不安を乗り越え、エージェンシー管理システムのイメージング機能を使うようになった。おかげでキー入力の打鍵数を大幅に減らすことができた。一つの作業に要する時間を2、3分間削減することができたのである。それは従業員一人につき一日30分から45分の時間削減になる。

ミシガン州のマクブライド保険も打鍵数を減らすことによる効率改善を行っている。同社の社長曰く:「新しく導入したツールがどのようなものであれ、大切なことは、それによって一つの作業を行うための手順を簡潔にすること(例:入力の打鍵数の減少)ができるかどうかです」

同社は3年前、業務を改善した。一つは入ってくる書類やデータをまとめ、全てをスキャンし蓄積する;もう一つは業務分担に柔軟性を持たせるために、CSR業務をチーム・ベースで行うようにしたことである。その結果、従業員数を減らすことができた。二人辞めたが、代わりを採用する必要はなく、また、開店時間を1時間30分延長することができた。フレックスタイム制を導入したからである。それまでは、契約規模や契約者名のアルファベット順にCSR担当者が決められていたが、チーム制にして以来、誰でも契約者に対応できるようになった。これは、勿論、全ての最新情報、例えば、顧客データ、契約に関する保険会社との交渉内容、顧客との対話内容などが、管理システムに蓄積されているので、誰が、いつ、顧客データを閲覧しても最新情報が掲示されているからこそ可能となるのである。

更に、大切なことは、従業員の業務のやり方を統一させることである。そうでないとミスや脱落(E&O)が発生する。例えば、従業員各人が異なる方法で提案書を作成すると、重要な情報を入れ忘れる危険性が高くなる。保険証券のチェック方法が異なっていてもE&Oリスクを高めてしまう。とにかくエージェンシー管理システムの使い方を社内で統一しなければならない。管理システム活用によって効率化を図る方法はたくさんあるが、従業員全員に正しい使い方を徹底させなければ意味はない。バークレア保険では従業員全員を3ヶ月に一度集め、専門のITコンサルタントによるトレーニングを実施している。社長曰く、「システムについての知識に磨きをかけることと効率改善は永遠の課題です。業務が順調に進まない時、原因はおそらくテクノロジー自体ではなく、我々とその使用方法に問題があると思っています」

そして、現在、多くの経営者を悩ませているのは、機器間の情報移動、即ち、エージェントや顧客の携帯機器と、エージェンシー管理システム間の情報移動、及び、これらに関わる問題である。

スマートフォンやタブレット(タッチ・スクリーンの携帯PC;アイパッドなど)利用者が増えている。あるエージェンシーのIT担当者曰く、「スタッフ15人のラップトップを管理するのは悪夢です。しかし、15のタブレットであれば簡単です。タブレットはラップトップのようには壊れませんし、利用時間もラップトップよりも長いです」

また、これまで顧客へのプレゼンテーション時間に3,4時間かかっていたところをタブレットの利用により1,2時間に短縮することができたというプロデューサーも多い。しかし、その一方で、これら携帯機器とエージェンシー管理システム間のデータ移動に関わる問題に直面している。E&Oリスク防御のためには、機器間の情報移動がスムーズ(即時に、簡潔に)でなければならない。

更に、顧客は事故通知や質問がある時、携帯ツールを利用する。そして、エージェントからの早急な回答を期待する。エージェントのスマートフォンに事故通知をしてきた顧客は、対応について説明を受けながら、その説明をドキュメントで送信してほしい、と要求してくる・・・

テネシー州のジョン・ベイリー保険の社長曰く、「様々なコミュニキーション・ツールへの対応は難しい。しかし、手間をかけても、どのようなツールででも、当社とのコミュニケーションが可能であることを顧客に示すことによって、かれらの信頼を得ることができます」

携帯機器の進歩によりエージェントの仕事は実に便利になった。が、しかし、顧客の要求もアップグレードしている。対応の早さや便利さについての要求度が高くなっているのである。

米国の独立エージェンシーの経営者の平均年齢が年々下がっている理由は、テクノロジー対応のためであることは言うまでもない。

(インスウォッチ、2012年12月掲載)


 

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