米国リポート (1998年2月)

● 生保業界流通事情 - 生命保険、医療保険業界の傾向

損害保険の流通システムが大きく変わろうとしている現在、独立エージェントは損害保険以外に収入の源を求めざるを得ない。 そして、独立エージェントの多くが、生命保険と医療保険の販売を新しい、そして、莫大な収入源と捉えている。

しかし、状況は常に変化している; 他エージェンシーとの競争の激化、通常の生命保険商品知識ではなく、より専門的な知識の必要性、販路としての他機関との提携機会の増加、購買年齢層の変化、等が生命保険コンサルタントや保険会社経営陣が指摘する近年の傾向である。

"(生命)保険会社はマーケットシェア獲得を求めて拡大し続けるであろう。エージェントにとって競争は激しくなるばかりだ。"とハートフォードに本社を置くマネジメント・コンサルタント機関であるコーニング社の保険研究部マーク・トレンチャー副部長は語る。

実際、1996年、同社によって行われた生命/医療保険流通システムの傾向に関する調査書には、業界の流通に影響を与える様々な、大規模な変化が取り上げられている。今後5年間はインターネットを通じて商品を販売しようとする保険会社が増えるだろう。ファイナンシャル・プランナーと同様、販路として銀行もその存在が益々拡大していくだろう。 事業所における保険販売も増えるであろう。 そして、生命保険会社もミューチュアル・ファンド社の例に習い、 フリーダイヤルでの24時間の自動返答サービスを採用するであろう。

2年に一度発行される「生命保険業界CEOへの質問/調査報告書」の中で、生命保険会社経営陣の81%が、流通を重要な問題トップ3に挙げている。 この「生命保険業界CEOへの質問/調査報告書」はニューヨークに本社を置く経営/数理/リスクマネジメントコンサルティング機関である、ティリングハースト-タワーズ・ぺリン社によって1997年に作成された。 "この中には、保険会社が商品販売の方針/戦略を懸命に模索している最近の状況が述べられている"と、共著者でもあるリック・ベリー氏は言う。

ベリー氏は、上位中所得者層が生保商品の購買に際して賢くなったことを例に挙げ、エージェントは益々商品知識を磨かなければならない、と、強調する。 "この業界で勝負しようとするなら、エージェントは万能選手としてより広範なニーズに答えることができなければならない"

最近行われた「第8回保険業界の為のクーパース・ライブランド会議」の開会の辞において、インディアナ州フォートウェイン市に本社を置くリンカーン・ナショナル保険会社のイアン・ローランド会長/CEOも又、消費者マーケットにおける変革について述べた。 ベイビーブーム世代の最年長は今や51歳となり、資産の保護よりも、蓄積に興味を持つ年齢層グループを形成している。 ローランド会長は、高齢層人口が増加するに従い、異なった年齢層の間の資産の移動を発生させ、様々なフィナンシャルサービス商品− 生命保険、信託、財産管理等− に関する知識や専門能力のニーズが高まってくる、と語る。

コネチカット州ウィンドソウ市に本社を置く、生命保険とフィナンシャルサービス研究機関であるリムラ・インターナショナルの戦略研究部のボブ・バラノフ副部長も同様に、 高所得者層の市場を開発する為には、より高いレベルの知識や能力を取得するか、又は、そのような人材と提携することが必須となる、と語る。 "高所得者層の人々とは、アドバイスという個人的な価値にかかる費用を負担することを厭わない人のことである"と加える。

ヒューストンに本社を置くアメリカン・ジェネラル生命保険会社の取締役でありマーケティング本部長のロイス・イムホフ氏は、高レベルの専門能力を有しているエージェントは競争に強い、という意見に同意する。 "同社も専門知識を有したエージェントとの取引を求めている"と同氏は語り、そのようなエージェントは同社が求めているような高所得者層のマーケットにより適切に対応できること、指摘する。

イムホフ本部長は、エージェントを判断するに際して、専門知識や能力について具体的な基準は無いと言いながらも、業界で認知されている称号の保持者、長年の経験者、業界での堅実な経歴等を考慮に入れると語る。

ローランド会長は、 クーパーズ&ライブランド会議の際、生命保険業界における更に別の傾向について指摘した - 専属エージェントシステムからの乖離(離反)傾向である。

ローランド氏はこう語る:

"将来は顧客のニーズに対し、我々提供者が応えなければならなくなる。 どういう意味かと言うと、我々は、いつ、どこででも、顧客の必要とする情報と商品とサービスを提供しなければならなくなる、ということだ。 保険エージェント、フィナンシャル・プランナー、株式ブローカー、インターネット、PCネットワーク、又はその他、今は想像もできないような新しい媒体を通じてそれらを実行しなければならないということだ"

リンカーングループの流通を受け持つ子会社、リンカーン・フィナンシャル・アドバイザー社のジョン・ベレンツ副社長は、同社は過去数年"複数の販路を通じて商品を販売している"と語る。 例として、年金の販売は株ブローカーや銀行を通じて、退職勘定に関する商品は事業主や団体事務局を通じて販売している。

アメリカン・ジェネラル社のイムホフ本部長は、"同社が、銀行やブローカーを通じての取引に好機会を見出している。 将来はこれらの流通販路が有望である"と語る。 しかし、 それでも尚、と彼は強調する: "米国全般に於いては、独立エージェントが基本であり、必須である"と。

同様に、 ハートフォードに本社を置く、トラベラーズ生命&年金保険会社のウォーレン・メイ副社長は、同社の売上げの80%が独立エージェントを通じてのビジネスであると述べながらも、 "当社も明らかに、代替流通チャネルを模索している"と語る。 代替流通チャネルとは、銀行、株ブローカー、証券会社、事業主のスポンサーによる販売、等である。

それでも、業界関係者たちは、そうした見解に対して必ずしもイエスと言うわけではない。 "消費者に商品をもたらす為の様々な新しい流通チャネルは必ずしも保険のエージェントにとって悩みの種となるわけではない。 代替流通チャネルは、使い方によっては、保険エージェントにとって有力は販売方法ともなり得る。 例えば、メイ上席副社長は、同社が銀行を通じての販売で成功を収めたことを報告している。 しかし、もし、エージェントが関わった上での銀行販売であったなら、もっと高い収益を挙げていただろう、と関係者は語る。

"雇用主のスポンサーシップを得た上で、従業員に生命保険、長期所得補償、その他の投資商品を販売することも、トラベラーズ・生命&年金保険会社がとりかかろうとしているマーケティング戦略の一つである。 このような戦略に於いても又、エージェントは、先ず、@トラベラーズ社と雇用主を引き合わせるパイプとして、更に、A職場で従業員に対してのアドバイス提供者として、両分野で重要な役割を果たす"と、メイ上席副社長は語っている。

インターネットによる直販

トラベラーズ生命&年金保険会社のメイ上席副社長は、生命保険分野に始めて乗り出すエージェントは先ず比較的易しい定期保険から始める、と言う。 定期保険が確かに初心者にとっては易しい商品であることを認めながらも、エージェントは将来に向けて広い視野を持たねばならない、と語る。"そうすれば、常に新しい流通方法を模索している生命保険会社とパートナーを組む機会を得ることも可能となるかも知れない"

生命保険コンサルタントや経営幹部によると、インターネットの活用は近い将来生命保険市場に大きな影響を及ぼすことになりそうだ。

リムラ インターナショナルによって行われた"生命保険会社のインターネットに関わる業務調査、1996年"によれば、インターネットが、マーケティングとコミュニケーションの分野で重要な役割を果たすことが指摘されている。

米国とカナダの生命保険会社144社からの回答を元にした調査のハイライトは、全体の61%が現在ホーム頁を持っており、その数は1998年には86%に上ると予想されていることだ。 全体の5%がインターネットを通じて直接販売を行なう予定をしており、1998年末にはその数字が23%にまで上昇すると予測されている。 回答者の4分の3が、個人顧客へのマーケティング手段としてインターネットが大きな可能性を持っていると答えている。

"今や全ての人々がインターネットの活用を考えている"イムホフ氏は言う。 "我々は皆、なんらかの目的や手段を持ってインターネットを活用するようになる" それは独立エージェントにとって何を意味するか? エキスパートは次のように予測する:

"インターネットをマーケティングの手段として使用する生命保険会社は、今後増えるだろう。 先ず、最初にマーケティングの手段として活用し、次にエージェントや消費者とのコミュニケーションの手段として利用されるだろう"

例えば、メイ上席副社長は、トラベラーズ生命&年金保険会社のホーム頁を通じての販売が月40から50件である、と答えている。 同保険会社のホーム頁にアクセスした見込み客は、画面でエージェント・リストの中から最寄りのエージェントを選ぶ、或いは、保険会社の担当者からの返答を待ち、その担当者からエージェントを紹介してもらう、か、どちらかを選択することができる。

メイ上席副社長は、インターネットが、定期保険のような簡単な商品のマーケティングの手段として理論的可能性があることは認めるが、複雑な商品を購入しようとする場合、やはり仲介者を必要をするであろう、と語る。

リンカーングループのベレンツ副社長も同意する。 彼は、"リンカーン社が積極的にインターネットの活用開発をすすめており、インターネットが'何でも独力で行なう人々'を惹きつけるということを認識しながらも、プロフェッショナルの案内やアドバイスを必要とする申込者が存在することも事実なのである"と語る。

アトランタのヘイ・マクバー・グローバル保険社のシニア・コンサルタントのウィリアム・N. ゴフ氏も、又、インターネットによる直接販売が増加することに賛成しながらも、その拡大には限度がある、と語る。

ゴフ氏によれば、現在、生命保険契約の5%、保険料にして2%が直接販売による。更に、 直接販売によるシェアは15%にまで拡大すると予想されている。

しかし、流通におけるこのような変化を、エージェントは、好都合なニュースとして捉えるべきだ、とインディアナ州、ココモ市に本社を置くユナイテッド・プレジデンシャル生命保険会社のエドワード・レッドフォード(CLU)上席副社長は語る。

主にブローカーを通じて販売展開を行なっているユナイテッド生命のレッドフォード上席副社長は、直接販売を通じてコンタクトした顧客の多くが、それまで保険を付けていなかった人々(無保険者)である、と予想する。 業界全体を見た場合、インターネットによる直接販売によって、無保険の個人顧客を惹きつけることができた。 それでも、尚、潜在マーケットの大部分を押さえているのはエージェントであることは明らかだ、と、レッドフォード上席副社長は語る。

レッドフォード上席副社長によると、未開発の潜在マーケットは莫大である、と言う。 特に、1995年の生命保険新規契約の売上げは、10年前の新規売上げと比較して、24%下がった。 1994年における所得額$25,000以上の世帯数 − 生命保険やその他の金融サービス商品の主たる購買者 - が1984年のそれより14%アップしたのにである。

"保険会社は消費者に対し、商品を十分に普及させることの成功していない"とレッドフォード上席副社長は語る。"(どのような流通手段を使った購買者でも)購買者を増加させればさせるほどエージェントにとっては好都合であるはずだ。 だから、新しい流通手段はそれがどのようなものであろうと、エージェントは歓迎すべきである"と強く語った。

Copyright Independent Agent,Feb.1998:used with permission


 

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