これまでの50年間、今後の50年間(2012年1月)

これまでの50年間、今後の50年間


不景気にもめげず、拡大中の独立エージェンシーの一つがインシュリカ、12社の統合によって生まれた会社である。非上場の独立エージェンシーとしては全米20位に位置する。統合前の社名はノース・アメリカ・グループである。1959年設立のノース・アメリカ・グループは、90年代の終わりから年に1社か2社のエージェンシーを買収していった。

同社は特殊な買収方法を採用した。即ち、買収先エージェンシーの株式の50%以上をノースアメリカ・グループが買い取る方法である。買収された会社の社長(50%未満の株式を所有する)は共同経営者として従来どおりそのオフィスで働く。社名も変更しない。この方法によって、買収後も地元での評判を生かした営業ができる。一方、グループ全体としては、専門分野の異なるエージェンシーを買収することにより、対象とする顧客の業種を拡大することができる(はずであった)。

しかし12社それぞれが異なる社名、ロゴ、ウェブサイトを使っていた為に、統合による利点を生かすことができなかった。即ち、様々な分野、例えば、学校、医療機関、テクノロジー、建設業者等−の販売とリスクマネジメントを得意とするスタッフが集まったが、これらの専門性を12拠点で十分に宣伝できていなかったのである。

そこで07年、ノース・アメリカ・グループの経営陣は、コンサルティング会社に助言を求め、ブランド構築に取りかかった。調査には数ヶ月を要した。ブランドを再構築するには、現在の経営を徹底的に分析しなければならない。強み、弱み、目標、資源(人的資源、財務資源)を明確にする必要があった。コンサルティング会社は12社のエージェンシー責任者との個別の面談も行った。この全体分析と経営者個別面談は同社にうまく作用した。

コンサルティング会社の提案により、社名を統一した。ノース・アメリカ・グループはインシュリカに生まれ変わった。08年のこと。

しかし、買収先のエージェンシーは、それぞれの社名で10年〜30年間その地域で営業しており、地域での認知度は高かった。そのため、新しい社名「インシュリカ」を使用しつつ、長年培った評判を維持することができなければならない。そこで、各エージェンシーが従来までの社名と、グループ会社名として「インシュリカ」を併用することになった。ただし、エージェンシー社名の表示は、統一した基準に従う。とにかく、12社は、“経営方針が共通するグループ会社”であるということを公にすることが必要であった。ウェブサイトはひとつにまとめ、名刺やレターヘッドも統一した。同社のキャッチ・コピー「Specializing in You(‘プロとしてあなたのニーズに答えます’とでも訳すか)はウェブサイトにも表示されている。

変更については本部の経営陣がグループ会社に‘押し付ける’ような形になっては好ましくないと考え、各エージェンシーを訪問して説明し、全11社の経営責任者に理解してもらった。

この統一化により「インシュリカ医療機関リスク専門部門」や「インシュリカ学校リスク専門部門」をグループ会社全社を通じて宣伝できるようになった。これは同社の増収を大きく助けることになった。

新ブランド構築のための下調べに要した金額は750万円、その後、実践(ロゴ、社名、ウェブサイト、帳票類の変更、その他経費)に要した費用はこの7倍、5,250万円であった。

これほどの金をかけるだけの価値はあったのか?

本部の経営陣曰く、

「50年間の当社の歴史において、ついに全員の声を合わせることができました。投資した金は今後50年間成長する為の基礎となります」

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 実際、同社の手数料収入は08年43億円、09年45億円、10年57億円、ちゃんと成長しています。50年後も生き延びているでしょう、この様な会社は。

(インスウォッチ、2012年1月掲載)


 

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