米国リポート (2003年1月)

アフィニティー・マーケティング(Affinity marketing)


保険会社やエージェンシーによるアフィニティー・マーケティングが増大している。アフィニティー・マーケティングとは、職業や年令を同じくする団体のメンバーに商品を販売することである。保険会社やエージェンシーは団体の特徴を理解し、彼らのニーズに合わせて補償内容を作る。プログラムのパンフレットには“団体事務局の推薦”という保証が加わる。

アフィニティー・マーケティングで最も成功しているのがハートフォード保険会社である。同社は1983年AARP(アメリカ定年退職者協会)と提携し、会員190万人に自動車保険とホームオーナーズ保険の販売を開始した。10年後の1993年にAARP事務局との販売契約が更新された時、会員数は17倍の3,200万人に増えていた。ハートフォードは、老人学の専門家を雇用し、販売担当者に老人への対し方、例えば、未亡人となったばかりの老年者に接する時の話し方を教える。老年者は視力が弱り、夜間の事故が多いので、夜間運転を行わないドライバーには保険料が割り引かれる。ロス・コントロールとして定期的に運転レッスンを提供する。又、老年者は若い人よりも自宅で過ごす時間が長く、盗難や蛮行による損害が少ないので盗難保険の保険料は割り引かれている。正に商品、サービス共に老年者という類縁(アフィニティー)グループにあつらえたものだ。

  ハートフォードは全米最大の小売業者、シアーズとも提携している。シアーズの6千万人の顧客と従業員に対し保険商品のダイレクト・メールを送付している。同プログラムの特典として、自動車保険では、新車で一年以内、或いは、走行距離が1万5千マイル以内で全損となった場合、保険金は新価で支払われる。更に、“シアーズ・ダイハード・セキュリティー・バッテリー”を使用している車には車両保険料の割引を提供している。シアーズの顧客は非常に忠実であるといわれている。即ち、シアーズのバッテリ−やタイヤの購入者は、繰り返し同社の商品を利用する。従って、ハートフォードは、顧客の忠実さに注目し、バッテリー購入者に保険料割引を提供しているということだ。

  AARPの会員に対する自動車保険での経験を買われ、ハートフォードは、1996年、医療保険と確定年金の販売契約を取付けた。今や、アフィニティー・マーケティングによる同社の収益は、個人保険の全収益60%を占めることとなった。

  全米3位のファーマーズ保険会社は職種に基づいて団体を選別している。同社の教師団体向け自動車保険には割引が提供されている。何故なら、教師は日中あまり運転しないので走行距離が少なく、他のドライバーと比較するとスピードを出さないからである。このように良リスクのグループに特典を与えるのがアフィニティー・マーケティングの基本原則である。

  職場における団体保険販売の促進要因にテクノロジーの発達がある。大手企業だけでなく中小企業も従業員への情報提供手段としてコンピュータを活用するようになった。従業員はソフトウェアを使って様々の損害保険、医療プラン、年金プランに関する情報を収集し、最適のプランを選択するすることができる。各人が年金プランの投資先を選択し、家族構成の変更に伴い、被保険者データの変更を行う。ソフトウェアのおかげで、特に、福利厚生プランに加え、任意プランとしての損害保険の提供も容易になった。従業員が自ら申込書データをタイプし、担保内容を選択し、保険料は給料から差し引かれるシステムなので人事や総務部の手間も省かれる。保険料割引の自動車保険やホームオーナーズ保険は福利厚生の一環として優れた効果を発揮する。

  保険会社やエージェンシーにとっては販売コストの削減、企業や団体にとっては従業員や会員へのサービス向上に役立つことからアフィニティー・マーケティングは今後も引き続き増大するだろう。

(2003年1月インスウォッチ掲載)


 

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