米国リポート (2003年9月)

自動車クレーム処理


利便性・スピード・品質保証の提供
  プログレッシブ保険会社は収入保険料総額では全米9位、自動車保険収入保険料では4位である。収入保険料の98%が自動車保険料という自動車保険専門会社である。1937年の創立以来標準外リスク(リスクの高い)の引受けや信用調査データ(ローンやクレジット・カードの支払い記録)を引受け要件とするなど社名の示すとおり(プログレッシブとは進歩的という意味)刷新的な戦略で確実に伸長した。それはクレーム処理においても同様で顧客のアンケート調査を元にクレーム対応の改善を進めている。一つが「即時クレーム対応車サービス」である。先ず、被保険者はフリーダイヤルで同社に報告する;クレーム・オフィスは最も事故現場に近いハイウェイを走っているアジャスター(クレーム対応車)に連絡する;クレーム対応車は直ちに事故現場に赴く。単純な衝突事故の場合、その場で小切手が支払われる。クレーム対応車とは白い小型のバンでカメラやコンピュータが備えられた移動するクレーム・オフィスである。

  更に今年3月「ワン・ストップ・クレーム」という新サービスを開始した。事故発生後、被保険者はクレーム・オフィスに連絡する。@顧客は最寄のクレーム・センターに事故車を持ち込む;Aそこでレンタカーをピックアップする。この@とAに要する時間は15分以内であるとのことだ。事故車は修理工場に運ばれ修理後クレーム・センターに戻される。そこで修理工場の担当者とセンターのクレーム担当者は修理具合をチェックする。修理完了の連絡を受けた被保険者はセンターに赴く。そこで被保険者とクレーム担当者が共に車をチェックし、問題がなければ被保険者は車を受取る。修理は車の寿命まで保証される。現在同社は全米にクレーム・オフィスを350拠点、「ワン・ストップ・クレーム」を提供するセンターを30拠点有する。

  プログレッシブのクレーム処理に対する考えはこうだ:

  “事故車を迅速に査定し修理することによって車の保管費用と代替用自動車のリース費用を押さえることできる。更に、迅速な顧客対応と保険金支払いによって、支払金額に対する被保険者の反応も異なる。即ち、被保険者にとっては、今日受取る1千ドルは、3週間後の1千ドルより価値が高い。そして損害額と事故処理に要するコストを抑えることにより、結局は保険料の引下げが可能となる”と。

  同社の2002年度自動車収入保険料の伸び率は31.2%―業界最高である。

修理工場との業務委託契約 
  一方ステート・ファームやオールステート等大手保険会社に利用されているのは、直接修理プログラムである。先ず、保険会社は業務の質やエンジニア・トレーニング等を基に修理工場を査定し、基準を満たしている修理工場と業務委託契約を結ぶ。契約締結後も適正な修理が行われていることを確認するため保険会社は修理工場を任意に検査する。事故に遭った被保険者はこれら業務委託先修理工場を紹介されることになる。このプログラムが採用される以前は、被保険者は修理を行う前に2社以上の修理工場の見積を取寄せて保険会社に提出しなければならなかった。又、事故車が届けられた修理工場に保険会社のアジャスターが赴き、修理工場の算出した見積をチェックしていた。しかし、このプログラムによって2社以上の見積を取寄せる時間やアジャスターが修理工場に赴く手間を省くことができた。更に、ステート・ファームの場合、修理工場(のスタッフ)が事故車をピックアップし、修理完成後は被保険者宅まで届ける;被保険者の指定場所までレンタカーを配達する:修理完成期日を保証する;修理後、車の洗浄と車内の清掃を行う;等のサービスも提供されている。筆者の住いを基点に検索してみた結果、2マイル(3.2km)以内に業務委託修理工場は45店あった。大手損害保険会社ならではの提携修理工場の多さである。

(2003年9月インスウォッチ掲載)


 

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