米国リポート (2001年1月)

 マーケティング(1)


潜在的な被保険者に商品を宣伝することがマーケティングである。 米国の保険会社やエージェンシー/ブローカーは特定の団体や顧客層の特徴を把握し、彼等のニーズにあつらえた独創的なプログラムを企画し、効果的なマーケティングを行っている。 幾つかを紹介しよう。


(1)アフィニティー・マーケティング

 協会本部や団体事務局を通じてその会員に商品(この場合は保険)を販売する方法である。 団体の特徴やニーズを基に商品をあつらえ、リスクマネジメントによって会員全員の損害率を下げ、保険料減額が可能となる。 このアフィニティー・マーケティングの王と呼ばれているのが、ハートフォード保険会社である。 1810年に設立された米国で最も古い歴史を持つ同社は1983年にアメリカ定年退職者協会との間に販売契約を締結した。 会員に対し、ダイレクト・メールで自動車保険とホームオーナーズ保険を販売するというものである。 当時の同協会の会員数は190万人、10年後の1993年にこの販売契約が更新された時、会員数は3,200万人に増大していた。 

 ハートフォード保険会社は、定年退職者協会との販売契約にあたって、老年世代を理解するために老年専門学者を雇用した。 そして会員用の商品内容、説明手法、応対サービスを研究し、独創的なデザインのダイレクト・メールを用意した。1996年には同協会に医療保険と確定年金を販売する契約も取り付けた。 自動車保険とホームオーナーズ保険での経験を買われたのである。

 他の保険会社の例をあげよう。

ケンパー保険会社

米国では女性をオーナーとする企業数は9万社、総雇用人数は2千7百50万人でこれは米国全体の雇用数の3分の1にあたる。 全米損害保険会社で20位のケンパー保険会社は、この女性オーナーを会員とする全米女性ビジネス起業家協会(National Association of Women Business Owners; NAWBO)との専属提携契約を更新した。 ケンパー保険会社は同協会の年次大会や各地で行われるセミナーへの一スポンサーとして参加し、非営利団体である全米女性起業家基金(National Foundation for Women Business Owners)に資金提供を行うことによって、女性起業家との関係構築に努めている。 日本では現在女性の方が元気が良いように見うけられる。 女性の業界グループへのこのような資金援助やスポンサーとしてのセミナー参加を考慮されてはいかがであろうか?

C N A生命保険会社

 C N A生命保険会社は最近、損害保険エージェント協会に対し長期介護保険プログラムを紹介した。 損害保険エージェンシーやブローカー社で働く従業員やその家族を対象とし、20%の割引が適用されている。 損害保険エージェント・ブローカーの協会といえば筆者の属するアメリカ独立エージェント協会(IIAA)があるが、これは州或いは地域単位に運営されている協会の連合体とも言うべきものである。 C N A保険会社はこの州毎の協会本部を通じて長期介護保険プログラムをマーケティングしているのである。 

TIG保険会社

 TIG保険会社は看護婦協会を通じて看護婦専門家職業賠償責任保険を販売している。 同社のサイトwww.tiginsurance.com (上部のNew Specialty Product Lineをクリックして下さい) 又は、看護婦協会のサイト、www.aspan.org (左側のアクセス・リストの一番下にあるInsuranceをクリックして下さい)のどちらからでもアクセス可能である。 パートタイムや企業や学校の医務室に属する看護婦等が、所属する機関の保険での付保の有無が不明の場合に備えて自ら保険を購入するのである。

ハートフォード保険会社

冒頭のハートフォード保険会社は、昨年夏シアーズと提携した。 シアーズは全米に店舗を持つ最大の百貨店で、ダイレクト・メールを使ったマーケティングでオールステート保険会社を損害保険で全米2位にまで押し上げた。 シアーズとオールステート保険会社との関係は1930年から90年代の始めまで続いた。 今回、ハートフォード保険会社との提携により顧客データを基に再び損害保険のマーケティングに取りかかった。 

ハートフォード保険会社は、コネティカット州、アリゾナ州、及びインディアナ州でそれぞれ幾つかの “優秀な”エージェンシー社を選択し、試験販売を開始した。 選ばれた独立エージェンシーは、シアーズの顧客に「シアーズ・自動車及び住宅保険プログラム」のダイレクト・メールを送付する。 この3州での見込み客数、即ち、シアーズ・カード所有者は25万人である。 3州での売上業績を評価し、それを基に他州への拡大計画を作る。 “優秀な”独立エージェンシーとは、これまでのハートフォードとの委託契約関係において一定以上の業績を収め、今後の発展が見込まれるエージェンシーを指す。

(2)世代別マーケティング

 米国でY世代(ジェネレーションY)と呼ばれているのは、ベイビーブーム世代の親を持つ1977年から1995年に生まれた子供達である。 この世代の人口は現在8千万人。米国は過去15年間人口減少の傾向にあったが、このY年代の人口は同国の歴史でも最大になる。 1961年から1983年に生まれたX世代(ジェネレーションX)という人口層もあるが、彼らの人口は2千万人に過ぎない。 Y世代は、エコー・ブーマー(Echo Boomers)、又はデジタル・ジェネレーションとも呼ばれ米国総人口の21%を占めている。

最近ある調査会社が行った統計結果によると、2002年には米国の13才から17才までの子供の半分がインターネット利用者になるとのことである。 又、インターネットを通じての商品購入について行ったアンケート調査では、 13才から18才までの子供達の67%、5才から12才までの子供達の37%が既に購入経験があると答えた。

 保険会社は将来の金融商品の顧客になるこれらのY世代を今から教育しようとしている。 幾つか例を挙げよう。

(その2に続く)



 

SGN Pacific Insurance Brokerage, Inc.
3146 Oak Road, Suite #403
Walnut Creek, CA 94597
info@sgnpacific.com
Tel & Fax: 925.932.4088

Copyrights reserved by SGN Pacific Insurance Brokerage, Inc.
web site created by EX COMPUTER