米国リポート (2001年1月)

 中間媒体の価値

証券業界、旅行業界に習う

10月末に開催されたIIAA(アメリカ独立エージェンシー協会)の年次大会で、シェリル・コッチ講師は、“インターネット販売が中間媒体を消滅させる”という最近の多くの報告書に疑問を投げかけた。 そして、回復しつつある旅行エージェントや証券ブローカーを例にあげ、独立エージェントは、旅行業界と証券業界に習うべきではないかと説いた。 以下はコッチ講師のスピーチの概略である。 

“テクノロジーの発達により、中間媒体は消滅してしまう”といった記事が多いが、トラベル・エージェントや証券ブローカーが回復しているという事実を見れば、記事の多くは誇張であることがわかるかも知れない。電話、ダイレクト・メール、インターネットによる保険の直販に脅かされている独立エージェントも、彼らから学ぶことができるかも知れない。

航空会社や証券会社は、顧客への直販を早くから開始したが、両業界の中間媒体(トラベル・エージェンシーと株式ブローカー)は今、生き延びようとしている。 特に、トラベル・エージェントの例は良い参考になるだろう。 というのは、彼らの報酬システムは独立エージェンシーに類似しているからだ。 両者とも、供給者(保険会社、航空会社)から報酬を得る。 現在、航空券のオンライン販売が盛んであるが、トラベル・エージェントは、“航空券販売者”から“旅行コンサルタント”に生まれ変わることによって、即ち、旅行者へのアドバイス提供サービスによって生残ろうとしている。

彼らは商品(航空券)に価値(アドバイス)を付け加え、その対価として報酬を受取っている。 例えば、行き先が明確であれば航空券を購入するのは簡単である。 しかし、始めてヨーロッパ旅行をしようとする場合、ホテル、見所、レストラン、交通機関などについてのアドバイスが必要である。 旅行者は、専門家であるトラベル・エージェントの情報やアドバイスに対し、報酬を支払うことを厭わないということだ。

同様のことが証券業界でも起こっている。 オンライン取引が盛んになり、高額のコミッションを受取っていた従来の証券ブローカーは苦しんでいる。 しかし、今、大手の証券会社は顧客に対し、流通方法とサービスの両方において“選択幅”の提供を始めた。 オンラインでの投資に不慣れな顧客に対し、不可価値サービス提供を始めている。 正に、『オンライン・ブローカーはクリックからブリックへ(*注)』である。 対面での親身なアドバイスを求めている顧客対応のためのオフィス開設がその一例である。

独立エージェントも消費者の“選択幅”“利便性”そして“価値”に対するニーズの上に資本化することは可能なのである。 何故なら、保険は消費者にとって不可思議なものであるからだ。 保険商品は複雑であり、消費者はそれらについて十分な知識を持っていない。

益々激化する競争の中で生き延びるためには、独立エージェントは:

● 業界変化や動向に精通していなければならない。言い訳に明け暮れるのでなく行動をおこすこと
● 総体的な見方をすること。楽観的になること。リーダーシップを持つこと
● 顧客に対し、より良いサービスを提供することを心がける。 競争相手の作戦を探り、それをより良く行う方法を探すこと
● 顧客を分析し、分類し、商品やサービスを考案すること。 そして、自身に問い返してみるべきである: どのような顧客にサービスを提供したいのか? どのような商品やサービスを彼らは求めているか? どのしたら彼らの望む商品やサービスを提供できるか?
● 戦略的提携を行うこと。 他の機関との提携により、顧客の相互照会が可能となり、顧客へのアクセス数増大する。 顧客への総合的な、最適の商品提供が可能となる
● テクノロジーを活用すること; 業務、データ・情報の収集、コミュニケーションにおいてテクノロジーを活用する
● エージェントと保険会社とのより良い関係構築。 お互いの仕事分担を明確にすることによって二重業務や不効率な部分を省き、ミスを防ぐことができる。 互いの約束を守り、結果(業績)に対して報酬を受取り、又は、提供すること

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弊社のウェブサイトのデザインやコンピュータに関するコンサルティング・サービスをお願いしている竹原氏は、トラベル・エージェンシーの共同経営者でもある。 そして、正にこの記事にあるように、訪問先に関する情報量の豊かさと、旅行者の要望にそった木目細かなアドバイスによって確実に顧客を増やしているオンライン・トラベル・エージェンシーである。 海外旅行にご興味のある方は、そして、特に、ディズニーの好きな子供さんがいらっしゃるご家族はアクセスしてみてください。 アドレスは:www.mickeynet.com 

(*注)クリックからブリックへ: “クリック”とはオンライン上の取引やインターネットを活用したビジネスを象徴する用語で、“ブリック(建物のレンガ)”とは従来からのビジネス慣行(対面での顧客サービス)を象徴する用語
 

以上


 

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