● 保険に関わる不正、詐欺行為 (米国の場合)
- そのC
国籍別による保険金詐欺の傾向としては:
〈ロシア及び東ヨーロッパからの移住者〉
自動車事故を企てる。 これは保険金詐欺で最も一般的である。
ロシア人は組織で詐欺を行なうのが上手い。
医者や弁護士を仲間に引き入れる。
又、元軍隊に所属していた者、 KGBや医者であった者もグループに加わっている。
ロシア人はキリスト教的思考が欠如しており、米国の資本主義に敵意を抱いていることも要因の一つであるという。
〈ナイジェリアからの移住者〉
クレジットカード詐欺。 FBIの最近のリポートによれば、ナイジェリアの政府も加担している可能性がある、ということだ。
実際、学校で詐欺のやり方を教えるとか。
又、ナイジェリアではパスポートを2、3ドルで買うことができるので、米国には、数種類の異なった"身元"を持って入国してくるという。
〈アイリッシュ/スコットランド人〉
遊牧、ジプシーとよばれ、年間70%は全米を移動しながら、ホテル、レストラン、小売店で意図的に転び、医療費や慰謝料を請求する。
〈アジア人の保険金詐欺〉
アジア人はヨーロッパ人にように移動しない。
テキサスとカリフォルニア州に集中している。
中には、同国籍人を対象に詐欺を働く者もいる。
最近は異なった国籍のグループが組んで詐欺を企てるケースがあるという。
ロシア人とナイジェリア人、ロシア人とベトナム人、ロシア人とヒスパニック系等など。
例えば、ベトナム人のドライバーとロシア人のドライバーの自動車事故を企てる。
同国籍人同士の衝突は怪しまれるからだ。
自動車事故の詐欺において最近顕著になっているのは、事故による怪我の治療以上の整形手術を行っているという事実である。
'整形手術費用'詐欺であろうか。
自動車の修理工場を巻き込んだ詐欺が増えている。
これは東ヨーロッパやアジアへの盗難車の違法輸出が増えたことにも関連している。
北アメリカ輸出委員会によると、約20万台の盗難車が違法輸出されている、という。
C. 連邦、州保険庁、市民/保険契約者、保険会社の対応
連邦
1997年、「全米自動車廃品に関する消費者保護法=National Salvage Motor
Vehicle Consumer Protection Act」が議会によって可決された。
自動車の廃品に関する連邦基準を設定することにより、廃品となった自動車の認識番号(Vehicle
Identification Number)が盗難車に悪用されることを防ぐ為である。
1996年、医療保険軽便責任法=Health Insurance Portability and Accountability
Act;HIPAA)が新しく施行された。
この法律には詐欺対策条項が多く組み込まれている。(医療保険軽便責任法については1997年7月3日号ブローカーズリポート参照)
1994年、「暴力犯罪監視及び法執行法=Violent Crime Control and Law
Enforcement Act」の施行により、各州間で保険会社やエージェントによって行われた保険詐欺は、重罪(Felony)であると見做されることになった。
更に、保険勧誘の目的で、担保内容について不正確な表現を使用することは犯罪と見做されるようになった。
州法/州保険庁
米国では保険金詐欺に関する法律は州毎に異なるが、現在までのところ、少なくとも37州が保険に関わる不正/詐欺を重罪と定めている。
この保険金詐欺法にしたがって、
保険会社は詐欺対策プランを立て、申込書やその他の書類上に詐欺に関する警告文を含めなければならない。
メイン州では詐欺対策プラン設定や警告文の印刷に加え、
詐欺の疑いがあるクレームはすべて州保険庁に報告しなければならない。
カリフォルニア州では、1979年に、カリフォルニア州保険庁保険詐欺部門=California
Department of Insurance Fraud Division (以下'部門'とする)が設置された。
同部門は保険金詐欺調査に従事し、警察の捜査に援助を提供する。
部門は「自動車」、「労災」、及び「特殊オペレーション」の三つのグループに分かれている。
「特殊オペレーション」は財物(火災等)、医療、生命、及び就業不能保険に関わる保険金詐欺を取扱う。
同部門の運営資金の一部はカリフォルニア州の全認可保険会社(約1,500社)からの拠出金である。
部門の調査官は、治安担当官として認可された警察官であり、武器を携帯し、逮捕権限を有する。
各グループは数名の調査官、スーパーバイザー、事務担当者で構成されている。
フロリダ州は保険エージェントに対する規制が厳しい。
過去5年間で、同州は1,116人のエージェント免許を剥奪している。
これは2倍の人口を持つカリフォルニア州より326人多い。
フロリダ州の保険長官、ビル・ネルソン氏自身がおとり捜査員となって、エージェント逮捕に協力することがあるという。
58才の民主党員で、シャトルコロンビアでの宇宙飛行の経験を持つ。
氏は、保険知識の無い消費者に直接に接する保険エージェントの責任は非常に重いと考えている。
実際、2年前、同長官はジーンズとベースボールキャップで装い、テープレコーダーを持って自動車ディーラーに赴いた。
そして、保険エージェント免許無しで保険勧誘を行っているディーラー18人を逮捕することができた。
長官のスタッフである詐欺対対策マネジャーのポイントデクスター氏に対し、保険会社は、エージェントだけでなく不正を行なう契約者の取締を強く要請している、
が、
氏は、
"保険エージェントの違反行為を最優先にする"そうである。
フロリダ州は:
この2年間、エージェントの取締/管理部門の人員を2倍に増員した
詐欺対策本部は、エージェントの不正な業務を追求する地区検事の費用を負担する。
他州、例えばカリフォルニア州の場合、保険会社に対して詐欺を行った者を追求する地区検事の費用は負担される
フロリダ州の保険会社はエージェントが解雇された場合、保険庁に届け出なくてはならない。
その際、解雇理由も付帯しなければならない。
それは不正を犯す可能性のあるエージェントリストの作成に役立つ。
カリフォルニア州では解雇理由の記述は必要なし
詐欺対策本部の人員は105人。 ちなみにカリフォルニア州は162人である。
違いはフロリダ州の場合、全員が市民/契約者による詐欺だけではなく、エージェント/保険会社の行なった不正な行為にも十分に対応しているということである
市民/保険契約者
州保険庁やアメリカ独立エージェント協会(IIAA)は、ホームページやパンフレットを通じて、保険に関わる不正/詐欺のリスク警告し、対処方法をアドバイスしている。
例えば、IIAAのホームページの消費者情報には:
A.保険に関わる不正や詐欺の実状
B.詐欺によって消費者が被る損害
B.詐欺とは何か
C.詐欺の見分け方
D.詐欺に対して連邦や州がどのように対処しているか
E.詐欺事件の最新ニュース
が含まれている。
「保険詐欺の犠牲にならない為に」の中から幾つか拾って見た:
保険購入の前に、その保険会社が州の営業認可を得ているか否かを州保険庁に問い合せること。
州の営業認可を持っていれば、保険会社が倒産したとしても州の基金から保険金が支払われる
戸別訪問販売や電話での保険購入には細心の注意を払うこと
保険料が他保険会社と比較して著しく低い場合は疑うべき
保険会社の信用や支払能力が、Standard & Poor'sやA.M.Best等の格付会社によってどのように評価されているか調べること。
公共図書館にはそれらの資料を手に入れることができる
最初の保険料支払後、60日以内に保険証券を受取ることを確認する。
それは、あなたの保険料がエージェントを通じて保険会社に支払われたことを意味する
空白部分のある保険金請求書に署名しないこと
治療費請求書に記載されたすべてのサービスを詳細にチェックすること。
受けていない治療項目が含まれていないか?
事故の後、相手側が医師や弁護士の紹介を申し出たら要注意
車に使い捨てカメラを携帯しておく。
事故の際、車、現場、相手車の搭乗者全員の写真を撮ること。
彼らの名前、電話番号、住所も書き留める
もし、詐欺だと思ったら、連邦保険犯罪局に連絡すること。
電話番号は TEL: (800)835 − 6422
米国では皆がそれぞれ自身の身を守らなければならないのである。
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