米国リポート (1999年7月)

● 対保険会社訴訟 A

カリフォルニア住民州保険長官と保険会社200社を提訴

カリフォルニア保険庁のチャック・クワッケンブッシュ長官と保険会社200社に対し、カリフォルニア州のドライバーにより訴えが起された。「チャック・クワッケンブッシュ長官は、自動車保険引受会社の利益をコントロールすることができなかった、その結果、保険会社は10億ドル以上の利益を得た、これはProposition 103(提案103条)の『ビジネス及び専門職の規則§17200、不当なビジネス慣行』に違反している、不当に得た利益はドライバーに払戻しすべきである」というのが訴えの理由である。

"提案103条を遵守するべく選出されたクワッケンブッシュ長官が目を放した隙に、カリフォルニアの保険会社は自動車保険で毎年過度の利益を挙げている"とサンディエゴのブライアン D.モナガン弁護士は言う。 モナガン弁護士は今回提起された集団訴訟、「ウォーカー及びその他対ステートファーム及びその他」訴訟の主任弁護士である。

訴状には、クワッケンブッシュ長官と保険会社が"保険料率が非常な高さに達していること、保険会社が過度の利益を得ていることを認識せず、またその事実を隠蔽した。 それは、クワッケンブッシュ長官が1992年の始めに可決された規制法に準じて、保険料率の上限を定めることを怠ったからだ"とある。 更に、"この隠蔽は、カリフォルニア州のドライバーに経済的損害を与えることを目的に、意図的に、悪意をもって、不当に、過酷に行われた。

Punitive Damages(懲罰損害賠償)にも値するほどである"と続く。 30頁に渡る訴状には、クワッケンブッシュ長官はホームオーナー保険では、法定剰余金に対する総収益が14%を超える保険会社は、過度に利益を得ていることを知っているはずである。 "自動車保険は、ホームオーナーズ保険や地震保険より、予想損害額をたて易く、リスクも低い。 従って、クワッケンブッシュ長官のみの判断をもってしても、自動車保険の利益率は14%より低くなければならないはずである。"

この訴訟は、 保険会社と消費者代表者の合同で今年3月に発足した「カリフォルニア保険庁特別委員会」が、クワッケンブッシュ長官宛に、 提案103条に基づいた、過度な料率の判断基準に関する勧告を作成している段階で持ち上がった。 1988年に可決された提案103条で、保険会社は過度な、又は不当に差別的な料率を適用することが禁じられた。 この判断基準に関する勧告書には、最低、及び最高保険料率を含める予定である。 消費者団体の上席保険アナリストのビル・アーン氏はSmart's Bulletinに、この特別委員会は9月に勧告書を完成する予定であったが、98年1月半ばまで延期された、と語る。 アーン氏は更に、

"クワッケンブッシュ長官のフリーマーケット志向がこの問題の足を引っ張っている。クワッケンブッシュ長官が、保険料率に規制を加えることを好んでいないことは明らかだ"訴訟の提起によって、保険会社と消費者の間の話合いに再び暗雲が覆うことになりそうだ。

「Smart's Insurance Bulletin」、1997年12月5日より
追記:

先日、ある米国の業界紙が日本の保険自由化についての記事が掲載されていた。 日本の業界にも精通しているその筆者は、日本が、米国の年金制度401Kを始め、海外の様々な保険制度を参考にしようとしている。 しかし、提案103条はその参考リストからはずすだろう、と述べていた。

以上

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