米国リポート (1999年6月)

● 標準外自動車保険

標準外自動車保険マーケットにおける変化

インターネットの利用や銀行の保険参入により、保険流通システムは大きく変わりつつあるが、 標準外自動車保険マーケットにおいても、 それは、 例外ではないようだ。 標準外自動車保険とは、 事故率の高い運転者、 経験の浅い運転者、 改造自動車の所有者等対象にした高リスクドライバーの為の保険をいう。 保険料は、従って、 標準自動車保険のそれより3倍から5倍は高額となる。

この標準外自動車保険の引受を主とする保険会社が近年増加した。 AMベストの統計では、1992年に220社であったのが、 1995年では342社に増えた。 標準外自動車保険の市場事体が拡大したということ、更に、 収益性が高いということがその理由である。 ただ、 収益性の高さによるマーケットの魅力は競争を招き、 さらに、 マーケットの改革を余儀なくさせることになる。 今、 益々厳しくなる競争に答える為、 アンダーライティングとクレーム処理の分野で技術革新が進められている。

アンダーライティング分野における改革/改良

現行の被保険者の詳細なデータベースと事故記録を収集し、 それを料率算出に正確に反映させることである。 自動車保険の料率は10数件の要素(ファクター)をもとに算出されるが、それら要素をより細分化するのである。

例えば、 大抵の保険会社が 「年齢ファクター」において、「26歳から30歳までの男性」という分類を行っている。 そこで、 「26歳から28歳」 と「29歳から30歳」と別々の分類を行い、 データベースと事故記録をもとに、後者に対してより低い料率を適用するのである。 このPrice Segmentation= 値段の区分化は このようなニッチマーケティングにおいてもっとも有効な手段であるということができる。

クレーム処理における変化

近年の技術革新は 運転記録データへのアクセスを容易にした。 例えば、 アトランタを本拠地とするイクイファックス社の情報マネジメントシステム、 「Comprehensive Loss Underwriting Exchange= 総合損害情報エクスチェンジ」 には500社以上の保険会社が加盟してる。 これらの保険会社は、申込者の詳細な事故記録をエクスチェンジから収集できるようになっている。 各申込者の事故記録情報を基に、正確な保険料を算出し、正確な引受の選別を行うことができる。 エクスチェンジからの情報を基にした場合、引受拒否率は、8% ~13%であるという。 これはエクスチェンジの提供する事故記録の方が通常の 「自動車事故記録」(= 州の自動車部門が収集している州内登録ドライバーの事故記録。警察に報告された州内の事故記録)よりも詳細だからである。 エクスチェンジでは、 警察に報告されなかった事故記録も保有している。

標準外自動車保険の引受会社にとって、 又別の重要な特質はクレームの早急な対応である。 例えば、 プログレッシブ保険会社のクレーム担当者は警察より早く事故現場に到着するという。 事故への対応が早ければ早い程、 被害者は訴訟を求めるより、和解に応じる確率が高くなるからである。

変化は販売方法においても見られる。 大規模の保険会社数社が、ダイレクトメールを利用しての販売を始めた。 ダイレクトメールによる販売シェアは伸びている。 しかし、独立エージェントによる販売シェアが消滅してしまうわけではない。 現在、 標準外自動車保険市場全体の75%は、 独立エージェントを通じての販売によるものである。 独立エージェントの方が数多くの引受保険会社の情報を所有しているからである。 標準外自動車保険の被保険者は保険料に関しては、特に敏感であり、 更改ごとにショッピング(複数の保険会社の保険料を比較し、最適なカバーを選ぶこと)を行う。 当分は、ダイレクトメールと独立エージェント両方を使っての販売が共存しそうである。

以上

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