米国リポート (1999年6月)

● RIMS報告書

リスクマネジメント第36回年次大会
The 36th RIMS Annual Conference and Exhibition


RIMS 36回目年次大会が、 4月26日から5月1日までカリフォルニア州サンディエゴで開催された。 6日間、企業/団体のリスクマネジャーの為に講義、メンバー会議、展示会、朝食会、情報交換昼食会が行われた。

The Risk and Insurance Society,Inc(RIMS)は、物的、人的、及び、金融リスクの管理を推進する非営利団体である。 1950年設立。 ニューヨークに本部を置く。 米国、カナダに4,500のメンバーを持つ世界最大のリスクマネジメント協会である。 メンバーの業種は、化学、建設、金融、食品/農産物、保険、木材、機械、金属、不動産、小売、通信、織物、運送、公益事業体、非営利団体と幅広い。

今年の出席者数は1万人。 大中小規模の企業/団体に働く保険/リスク管理担当者である。 リスクマネジャー以外では、従業員福利厚生マネジャー、コントローラー、CFO/経理マネジャー、人材開発/人事マネジャーとも呼ばれる人達である。 ブローカー、コンサルタント、アクチュアリー、 保険教育機関、アンダーライターが、主に展示会の出品者及び講義のインストラクターとなる。

3日目の昼食時には、ユナイテッド航空パイロット、ヘインズ氏が、大惨事になりかけた1989年のフライトについて話を行なった。 4日目と5日目のディスカッション・ランチは、テーブル毎にアンダーライター、コンサルタント、又はブローカーが座り、食事をしながら、セション内容に関する質問をしたり、その他の問題点について討論を行なう。最終日の午前中は、「解決法、及び情報交換会」と題して、参加者が一同に会し、5日間の感想を話合う。 メンバーの多くが、このミーティングへの出席だけでも、大会参加の価値があると言う。 講義のインストラクターは質問に答え、参加者はこの大会での収穫を他と分け合う。 ネットワーク作りにも積極的である。

講義は10種類の分野が、難度によって更に、4つのレベルに分かれる。

10種類とは:

クレームマネジメント、従業員福利厚生、ファイナンス、国際、保険、ロスコントロール、法律、リスクマネジメント、労災、及び、ARM(称号取得コース)である。

大会開催中に各分野15から30の一時間半から3時間の講義が行われる。 講義のコード番号によって、100(初級)、200(中級)300(上級)400(特定の問題に関するワークショップ)とレベルが分かれている。 又、業種別の講義も用意されている。 例えば、今年は、娯楽施設、化学品製造、大学/学校、建設、薬品、金融業、ソフトウェア/テクノロジー等、40種類が行われた。 参加者は同業種のリスクマネジャーから成功事例を聞く。

筆者は26日から3日間参加し、5つの講義を受けた。 「組織におけるリスクマネジメントのあり方、構造、命令系統」「政治的リスク」「サープラスライン保険会社」など、中級レベルではあるが内容の詰まったレベルの高いものである。 「組織における....」の講義では、となりに座っていた女性(東海岸の従業員数4,500人の金融会社のアシスタント・リスクマネジャー)が、 リスクマネジメントの重要性を会社のトップに理解してもらうことが非常に大変な仕事だ、と語っていた。 恐らく、多くのリスクマネジャー(大規模企業以外の)が、リスクマネジメントに対するトップの理解と関心を得る事を彼等の責務の最優先事項の一つに挙げるだろう。

サープラス・ライン保険会社とは、特定の州で営業認可を取得していない保険会社を言う。 彼等は、州による料率算出規制を受けず、 州の強制引受保険会社プールに参加する必要もない。 税金/年次報告書の提出義務も認可保険会社のそれとは大きく異なる。 サープラスライン保険会社は、認可保険会社が引受けないような高リスク、特殊な業種、高限度額の商品を取扱う。 彼等は、サープラス・ライン・ブローカーという特別なブローカーを通じて引受けを行なうが、 顧客(企業、団体)とは直接取引を行なうこともできる。 1時間半ではとてもカバーしきれない内容であった。 講義の後、インストラクターに資料を求めたら、 昨日、全米サープラスライン協会から、セションのスライド・コピーに加え、AICPCU(アメリカ損害保険研究所)発行の「サープラスライン 」一巻と二巻が送られてきた。 サープラスライン保険会社/ブローカーについてはいつか別にリポートをまとめようと思う。

展示会では350程の保険会社、ブローカー、自動車クレーム処理及び整備会社、バミューダやケイマン政府機関のブース(小さくしきった小部屋)で商品/サービスの説明が行われている。 ソフトウェア/システム会社の場合、オンライン情報、クレーム管理、教育、リスクマネジメント、ロスコントロールと多様である。

リスクマネジメントに関する出版物も30種類程展示されていた。 その一つ、「リスクマネジメント」というRIMS発行の月刊誌にはブローカーの報酬についての記事があった。 ブローカーについて言えば、 講義の一つに「貴社は本当にブローカーを必要としているか?」という課題の討論会が含まれていた。 これはコード400に分類されており、保険会社やブローカーは出席することはできない。

米国の企業/団体のリスク管理担当者が、 どのようにしてリスクと保険を学び、ブローカー/エージェンシーや保険会社との取引/交渉に役立て、自社のリスク管理を実行しているかを知ることができる。 一度は出席することをお勧めします。

以上

(「リスクマネジメントToday」 Vol.5に掲載されました)

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