●　米主要自動車保険引受会社の動向

自動車保険を制覇するものが保険市場を制覇するといっても言い過ぎではありません。 今回はGEICO、プログレッシブと並んで自動車保険の主要引受保険会社のニュースを2件お届けします。

｢マーキュリー・ジェネラル社｣と昨年チューリッヒ保険会社と合併した｢ファーマーズ保険会社｣です。


マーキュリー・ジェネラル社の業績アップ


米国の主要な自動車保険引受会社の一つであるマーキュリー・ジェネラル社は先週1998年の純利益が1億7千840万ドル、 一株に付3.24ドル となったことを発表した。 1997年は1億5千310万ドル、一株に付き2.78ドルで17％のアップである。

ロスアンゼルスに本拠を置くマーキュリー・ジェネラル社の1998年度の正味収入保険料11億ドルに対する損害率と混合率（コンバインド・レシオ）は驚くほど低く、それぞれ61％と87.6％であった。

1997年1月カリフォルニア州ではAB650（自動車に関する新法）が施行され、自動車登録の際に保険付保証明を提出することが強制となり同社の1997年度の純利益は28.5％上昇している。

マーキュリー・ジェネラル社のカリフォルニア州の自家用自動車保険の契約数は1998年の第四四半期（最後の3ヶ月の意。 これで正しいですか？）には1万５千件増加し、７４万３千件となった。 前年度の14.２％のアップである。 契約数の増加率と保険料増額が一致しないのは1998年4月に7％の保険料率引下げを行なったからである。

報告発表の中で、マーキュリー・ジェネラル社のスポークスマンは"カリフォルニア州の自動車保険市場のシェア競争は相変わらず非常に厳しい。 幾つかの主要保険会社が料率引下げを行うと他の競争会社も続いて引下げる。 更に多くの保険会社は益々広告、宣伝に力を入れ始めている"と語っている。 マーキュリー・ジェネラル社も昨年4月に着手したラジオとビルボードによる広告宣伝を引き続き積極的に推し進める予定である。

同社は昨年10月から100％子会社のカリフォルニア・オート保険会社を通じてNonstandard Auto policy(標準外自動車保険)の引受けを開始した。 これはエージェントから高い評価を得ている。 同社はこれまで引受ガイドラインの枠外であった標準外自動車保険を引受けることで新しい顧客の拡大を図ろうとしている。


ファーマーズ保険会社とチューリッヒ保険会社の拡大

ステートファーム、オールステートに続きダイレクトライターで全米3位のファーマーズ保険会社は今週、東部地域のマリーランド州とペンシルベニヤ州への進出を発表した。 1999年の終わりまでには、東部と南部の他10州への進出を予定している。 ファーマーズ保険会社の会長/CEOのマーチン・ファインスタイン氏は"当社の進出によって東部のマーケット事情は大きく変化するだろう。 当社のブランド名、商品種類の幅広さ、財務上の安定性をもってすれば地域の競争は益々激しくなることは確実である"と語る。

ファーマーズ保険会社は昨年9月にチューリッヒ保険会社と合併し、チューリッヒ・ファイナンシャル・サービス・グループを設立した。 合併前、チューリッヒ保険会社の契約者数は200､000、委託契約を結んでいる独立エージェンシー数400社であった。 営業地域は主に東部と南東部の12州 − マリーランド、ペンシルベニア、ニューヨーク、ジョージア、ノースキャロライナ、メイン、コネティカット、ケンタッキー、ニューハンプシャー、ルイジアナ、バーモント、ミシシッピー ― であった。

一方ファーマーズは西部と中西部31州で営業を行なっている。 合併によってそれぞれ大幅な営業地域の拡大に成功している。

チューリッヒ保険会社の個人保険部門はファーマーズ保険会社に組み込まれた形になり、現在はファーマーズのブランド名と商品を扱っている。 ファーマーズは引受保険料100億ドル、従業員数1万6千人、エージェント数1万5千人、取扱契約数１千６百万件で、チューリッヒ・ファイナンシャル・サービス・グループ内で最大の組織である。

ファーマーズ社の専属エージェントは基本的には自動車保険とホームオーナーズ保険を販売する。 今回、東部への進出に於いて、ファーマーズはチューリッヒ保険会社の既存の独立エージェントを通じての新マーケティング戦略に着手する。 エージェント数の増強を図っており1999年にはエージェンシー180社を増やす予定。

東部地域での営業は元チューリッヒ個人保険部門の元本社であるバルチモアを本拠地とする。

（共に｢Smart's Insurance Bulletin｣ 1999年2月19日号より）

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