米国リポート (1999年2月)

● 米国の生保エージェントA

テクノロジー/インターネット

保険は社会を反映する。 20世紀を振り返って見た時、20世紀の損害保険を形創ったのは自動車である。 19世紀の後半、自動車は単なる新商品に過ぎなかった。 しかし、20世紀に入ると自動車は、経済、社会生活、考え方、地理を変えた。 これらを反映して、自動車は保険で主要な地位を得た。 米国の2大保険会社、ステートファームとオールステートは自動車保険引受会社である。 そして、現在も直、株式市場で活発であるのは、プログレッシブ、マーキュリー・ジェネラル、GEICOといった自動車保険のニッチ・マーケター(特殊な商品、流通方法を採用している保険会社)である。

21世紀の経済と社会を変えようとしているのは、テクノロジーである。 保険業界に於いてテクノロジーは流通方法に大きな影響を与えるだろう。

銀行が保険販売に重要な役割を果たすであろが、それもテクノロジーあってのことだ。 例を挙げれば、1986年、英国でロイヤル・バンク・オブ・スコットランドがダイレクト・ライン社を設立した。 今や、自動車保険シェアで一位である。同社はデータベースを見直し、優良顧客のリストを作成した。 そしてダイレクトメールとテレマーケティングで勧誘したのである。

生保商品は航空チケットのようには、純粋な日用品(Pure Commodity)としては販売されない。 しかし、定期保険や年金(の何種類か)は商品の簡素化が進められ、インターネットでの販売が可能となる。 勿論、複雑な生保商品に於いては対面販売が必要であることは言うまでもない。

インターネットを含め、テクノロジーが、見込み客の探索、顧客への情報提供、電子メールによる顧客とのコミュニケーション、データ収集、 スタッフのリクルート等の手段として活用されるべきことは明らかだ。 リムラの統計調査では、メンバーの4分の3が個人へのマーケティングにインターネットが大きな役割を果たすことに賛同している。 そして、3分の2が"中間所得者層がインターネットを通じて生命保険を購入するはずがない"という意見に反対を唱えている。

個人のエージェントやエージェンシーも自社のホームページを持っているが効果の程は未だそれほど高くはないという。 知名度や利用度の高い団体や組織のホームページとリンクさせることができると良い; ウェブ・サーファーがエージェントのホームページにたどり着くようアレンジすることである。


21世紀にエージェントが成功するための要件とは?

ダン・サリバン氏は著書、「21世紀のエージェント」の中で、

"21世紀のエージェントとは、変化が自身のコントロールや業界のコントロールを超えてしまうことを認識している者。 起業家精神を持つ者"と定義している。 同書のポイントは以下の3点に集約できる:

・テクノロジーはこれまでの価値観を変え、官僚的な組織体制に挑戦しようとしている。
・テクノロジーは、 各自が専門家になる機会を、皆に公平に、提供しているのだ。
・テクノロジーによって今や個人又は小グループ組織でも(官僚的な企業でなくとも)素早い業務処理や顧客サービスの提供が可能となった。

テクノロジーのおかげで今や人間の殆どすべての仕事が代って行なわれるようになった。 できないことは、"新しいものを創ること"と、"他者と新しい関係をつくること"である。

21世紀に生き延びるエージェントとは、この創造性(Creativity)と関係構築(Relationship)のみに集中できることが必要である。

テクノロジーを活用することは必須である。 情報、データの収集、顧客探索や顧客サービスやをスピードアップさせることができる。
   
又、他の金融業者(銀行)や専門家(弁護士、公認会計士、株式ブローカー、コンピュータ・コンサルタント、ソフトウェア専門家)と提携すること。

生保エージェントの競争相手は、銀行、インターネット、ダイレクト・レスポンス・ライター、 アメリカン・エクスプレス、メリルリンチ、と数限りない。 しかし、すべての消費者に通用する流通システムなど存在しない。

一般の人々は、不慮の死(生命)、長く生き過ぎた(年金)、重症の身体障害者(医療)等の不運に自ら、前もって、対処しようとはしない。 生命保険エージェントはこれらを取扱うことを専門とする。 この性質は21世紀でも変わることはないだろう。

重要なことは専門性を身につけ、起業家をめざすことである。 起業家とは将来の経済上の安全確保の為に全く個人の能力だけに頼る者、他者の為に経済的価値を提供した後に初めて自身の経済的機会を享受する者 である。 つまり起業家は自ら価値を創りだすことに集中するのである。

今後25年間で生保会社はもとより金融業界が大きく変革することを認識しなければならない。 保険会社を完全に商品供給者と見做すことである。 その上で自主性を持つことだ。 そうすれば、保険会社の抱える問題の影響を受けることもない。



このような米国の状況がどの程度日本の生保エージェントの参考になるのかは読者の判断に委ねます。

以上


参考資料:

-The 21st Century Agent, by Dan Sallivan, 1995
- Vantage Point, by LIMIRA, 1996
- Best's Review, Life/Health Edition

-  「20/20 On the Year of 2020」 P.22、January 1998
-  「The Future of the Agent」 by Ron Panko、P.31、March 1998
-  「Parallel Shifts」 by Megan K. Shutes、P.77、 October 1998
-  「So What Does an Agent Cost」 by Richard Berry、P.79,September 1998

- Underwriters Reports, Centennial

-  「Why I Believe in the Future of Agents」 by Jack Bobo, P.206
-  「Technology to Shape Insurance Future」 by Sean F. Mooney, P.228
-  「The Need for Agents will still be Strong」 by Carole King and Victoria S. Pasher P.242
-  「Customer Focus Called Critical to Future」 by Susanne Sclafane, P.226


 

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