過去の記事より (1998年2月)

● 保険会社格付

経営破綻した山一証券は米国格付会社、ムーディーズより「投資不適格」という評価を受けたことにより短期の資金調達が困難であったという。 又、日本生命がスタンダード・アンド・プアーズというこれも米国の格付会社により、 全19段階の上位2番目、 「AA+」という高い評価を受けたことも以前報じられている。

米国で保険会社の支払不能に対応する為の保証基金制度が導入されたのは1930年代である。 当初は特定の保険種目に限って制度を適用していた。 1960年代に入り、自動車保険引受会社の支払不能が多発した時、 州毎の保証基金制度法が制定された。 この制度の下では、 基金は州の認可保険会社から徴収される。 一方保険会社は、 基金を、保険料税の減額や保険料に対する税金として被保険者から回収する。

1963年から1980年の間に、 63社(米国には損害保険会社が3,000社、 生命保険会社が2,000社存在する) が支払不能となり、 基金から支払われた合計金額は6千5百万ドルであった。 それが1980年からの10年間では252社が支払不能となり、 支払総額は33億ドルと急騰した。

保険会社の財務上の健全性や安定性は、 被保険者のみならず、保険エージェントやブローカーにとっても重要である。 購入者が代金の支払と同時に商品を手にすることができる他業界とは異なり、 保険は将来発生するか否か不明の補償(保険)に対して、 代金(保険料)を支払っている。 従って、 保険会社が将来補償義務を果たせない場合、 被保険者に代わって保険会社と取引を行った保険エージェントやブローカーの責任は極めて大きい。

1980年から1990年代の始めにかけて、支払不能となった保険会社が増加した。 被保険者や(賠償責任保険における)原告側は、支払不能となるような保険会社から保険契約を取り付けた保険エージェントやブローカーを訴えた。 そして、 "保険会社の選択に十分な注意を払わなかった"といいうことで、 エージェントやブローカーが賠償を命じられたケースもある。

このような状況にある米国の保険エージェントやブローカーが保険会社の支払能力を検査するのが、 「A.M.ベスト」、 前述の「ムーディーズ・インベスター・サービス」、 「スタンダード・アンド・プアーズ」等の機関の発行する格付評価報告書である。 但し、これらの機関の発行した報告書が完璧な参考資料ではないということを覚えておかねばならない。 それは、 格付けが主に保険会社側から提供された資料を基に行われているからである。 加えて、 学校での生徒の成績評価に似て、他保険会社との比較における評価であり、 絶対的な財務上の強さを表しているわけではない。 過去において最大級の破産はミッション保険会社による6億2千5百万ドルであるが、 同社の場合、州保険庁が注目し始めるで、 A.M.ベスト社の評価は「A」であった。 同社を始め、 破産したいくつかの保険会社は不正な手段で州保険庁、 格付会社、 公認会計士を欺いていた、 とA.M. ベスト社では指摘している。

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