概 観  (1999年5月)

業界の過去10年間を表現するキーワードは特殊商品化、流通の多様化、 テクノロジーの活用です。

これまで複数の保険種目を取扱ってきた保険会社は、 それら全ての種目で利益を上げることは難しいことを認識し、焦点を絞ったマーケティング戦略を進める方針を取り始めました。 株式市場でも専門化した保険会社への投資が増加するという形でこの傾向をサポートしています。 同様にエージェントやブローカーも専門化の方向に向かいつつあります。

流通コストの削減を求める保険会社は様々な流通方法を複合的に利用し始めています。 顧客サービスセンターを設立し、エージェントの職域であるはずの顧客サービスを提供している保険会社も現れています。 手数料の減額が理由の一つです。

銀行は保険の新しい流通媒体の一つです。 彼らは1980年には個人預金の23%を保有していましたが、現在その割合は13%に減少してしまいました。 消費者が他の投資に預金を移したからです。 そのため保険流通に新しい収益を求めているのです。 大手銀行は保険会社との合併や提携によって、 地方銀行は地元の保険エージェントとの提携によって積極的に保険販売に乗り出しました。

米国の主要なダイレクトライターであるステート・ファーム保険会社やファーマーズ保険会社は契約者に自動車/住宅/教育ローンを提供することにより"ワン・ストップ・ショップ"を開始しました。 銀行が保険業に参入するのであれば、保険会社は銀行業にというわけです。

ダイレクトライター、インターネット、銀行との競争に勝ち残ろうとする独立エージェント/ブローカーの間では、合併による大型化が進められています。 特定の業務だけを共有する目的でグループを形成する独立エージェンシーもあります。 他エージェンシーの内部業務の一部を請負うエージェントも現れています。

エージェントは、見込み客の探索、顧客への情報提供、電子メールによる顧客/保険会社とのコミュニケーション、データ収集、スタッフのリクルート、ネットワーク作り、迅速なクレーム処理等を行なうためには、インターネットを含めテクノロジーを活用すべきことは言うまでもありません。 小規模ではテクノロジーへの投資金を捻出することができないことも大型化を推し進めている原因ともいえそうです。

一方、成功しているブローカーの特徴としてターゲット・マーケティングとクロスセリングが挙げられますが、小規模ながら高い生産性を上げている例も多く見られます。 彼等は専門性を生かし、特定の業種や地域に焦点をあて、テーラーメイドの保険プログラムやサービスを提供しているのです。

このような米国の業界動向は、たとえ法的、社会的環境が異なろうとも、日本の業界の皆様にも参考となる事例が多くあると考えています。

野田 節子


 

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